「ジタハラって何?」
「ジタハラの対策法が知りたい!」
このように、時短ハラスメントの略称であるジタハラについて、詳しく知りたい方は多いのではないでしょうか?膨大な仕事を就業時間内に終わらせなければならないというのは、酷な話です。
本記事を読めば、ジタハラの意味をはじめ、実態や問題点、対策法などを知ることができます。家での残業が多く、辛い日々を送っている方は、ぜひ本記事を参考にしてください。
ジタハラとは?
ジタハラとは、時短ハラスメントの略語です。近年、働き方改革によって労働時間が見直され、定時に終業する会社が増えています。
しかし、業務量の調整などを行わずに、時短だけに着目した結果、勤務時間内に仕事が終わらない人が続出中です。
そのため、自宅に仕事を持ち帰っても残業代が出ないなど、さまざまな問題点が指摘されています。
仕事が終わっていないにもかかわらず「定時だから帰れ!」「残りの仕事は会社でやるな!」などと帰宅を強要される場合は、ジタハラを疑いましょう。
ジタハラの恐ろしい実態
前章でも触れましたが、ジタハラの恐ろしい実態は、労働時間が短くなってもなお変わらない業務量の多さです。
持ち帰った仕事を自宅で処理しているとはいえ、残業していることに変わりはありません。
それにもかかわらず、残業代は支給されないため、社員の不満が募っているのです。
ジタハラが原因で社員の士気が下がったり、蓄積される膨大な業務量によって会社全体がパンクしたりするなど、あらゆる問題点が指摘されています。
実際に起きたジタハラ
会社だけでなく社員にまで悪影響を及ぼすジタハラが原因で、とある会社員が自殺に至ったケースが発表されています。
内容は、2016年12月、自動車販売店の店長として働いていた48歳の男性が自殺した事件です。
上層部から残業時間を減らすよう指示を受けていた男性は、部下の仕事まで請け負い、自宅で月に約37〜87時間もの残業をしていました。結果として鬱(うつ)病を患い、自殺に追い込まれてしまったのです。
また、長時間労働が見直されるきっかけとなったのは、2015年に大手広告会社に勤めていた24歳の女性が自殺を図った事件です。
この事件を機に、多くの会社が残業時間の短縮を実施し始めましたが、家に仕事を持ち帰る結果となっては本末転倒と言えるでしょう。
ジタハラにおける問題点
ここまで、ジタハラの意味や恐ろしい実態について紹介してきました。では、ジタハラにおける具体的な問題点は、どのようなものでしょうか?
そこで本章では、ジタハラの具体的な問題点を3つ紹介します。
一つずつ詳しく見ていきましょう。
①モチベーションや生産性の低下
ジタハラによって膨大な量の仕事を持ち帰ったとしても、残業代として計上されません。いわゆるサービス残業を続けることになるため、社員のモチベーションは低下します。
また、給料に対する仕事量が割に合っていなければ、誰でもやる気を失ってしまうため、生産性も落ちます。
このように、残業代が出ない残業を続けることで、精神的にも肉体的にも疲労が積み重なることから、離職する社員が増加するリスクがある点が問題と言えます。
②中堅社員の負担が増加
ジタハラで特に影響を受けているのは、ベテラン上司と新米社員の板挟みになっている中堅社員です。
上司から「定時になったら帰れ!」「会社で残業するな!」と言われる一方で、部下に仕事を振れば部下が怒られることになります。
このため、中堅社員は膨大な仕事を持ち帰らざるを得ない状況となり、大きな負担がかかってしまうのです。
③会社全体が悪循環に陥る
何も考えずに短時間勤務制度やノー残業デーを導入し、それを強要すると、社員の信頼を失うことに繋がります。
前節で述べたように、ジタハラは社員のモチベーションや生産性を低下させ、会社に対する不信感や憤りを募らせるものです。
このような状況が続くと、退職者や転職者が増え、会社は人手不足になるでしょう。また、会社のネームバリューにも悪影響を及ぼしかねません。
社員が急減したからといって人材募集をかけても、会社の評判が下がった後になってしまっては、人材を増やすのは困難です。
ジタハラを解決するための対策法
最後に、ジタハラに悩まされている方やジタハラを解決したいという方に向けて、対策法をお伝えします。
ジタハラ問題が解決できれば、寝不足の日々も仕事に対する意識も、良い方向に向かうでしょう。
①現状を正しく認識する
ジタハラを解決するためには、まず現状を正しく認識しましょう。現状というのは、部署ごとの業務量や社員の人数などが挙げられます。
これらを認識して、問題点を可視化してみてください。例えば、社員の人数が少ないなら人員確保が必要であること、業務が立て込んでいるなら適切な割り振りが必要であることなどです。
このように、現場でしかわからない声を上司や幹部に伝えて改善してもらう姿勢が重要になります。
②残業になった理由を洗い出す
現状を正しく認識するとともに、残業になった理由を洗い出すことも大切です。
請け負っているタスクが多いなら仲間を頼ってみたり、単純に仕事が遅いなら効率化を図ってみたりするなど、自分に原因がある場合はこのような対策をとりましょう。
また、スケジュール管理を徹底して、時間を有効活用するのも効果的と言えます。時間管理の方法としては、GTDと呼ばれる時間管理術がおすすめです。
以下に簡単な手順を記載しますので、ぜひ参考にしてみてください。
【GTD時間管理術の手順】
- 把握する:やるべきことを書き出す
- 見極める:どのような行動をとるべきか導き出す
- 整理する:優先順位をつけていく
- 更新する:定期的にタスクを見直す
- 選択する:やるべきことを直感的に判断する
③相談できる環境を作る
この対策法は会社側が動く必要がありますが、社員のためにも、ジタハラによる不満や疑問を相談できる環境を作る必要があります。
ジタハラが原因で退職する社員が増えると人員不足になり、会社の存続が危機に直面します。
人材を募集しても「ブラック企業」とレッテルを貼られては、新入社員が集まりにくくなるほか、勤続が期待できないことから採用コストにも影響するでしょう。
このような現状を打開するためには、会社全体が一丸となって行動を起こさなければ、何も変えることはできません。会社の上層部に現場の声が届くよう、匿名で意見を伝えられる投書箱を設けるなど、サポート窓口を作ることをおすすめします。
まとめ
本記事では、ジタハラの意味や問題点、対策法などについて紹介しました。
ジタハラ(時短ハラスメント)は、表面上ではノー残業デーのようにクリーンな印象がありますが、自宅に仕事を持ち帰り、過剰な残業をしなければならないという負の実態があります。
実際、ジタハラが原因でモチベーションが下がり、離職する社員が増えている傾向にあります。社員同士で力を合わせて声を上げたり、時間を効率的に使う工夫をしたりして、ジタハラを解決しましょう。
もし、対策法を実践してもジタハラが解決しなければ、覚悟を決めて転職する道もあります。キャリドラは、転職に精通した専属講師がオンラインカウンセリングを行い、条件に合う業界を紹介してくれるので、おすすめです。