「キャリアパスとは、どういう意味?」
「キャリアパス制度を導入しようか悩んでいる…」
このような疑問や悩みを払拭(ふっしょく)するために、本記事では意味をはじめ、事例や注意点、導入方法などを紹介します。
また、制度のメリット・デメリットについても触れているので、導入を検討している方はぜひ参考にしてください。
キャリアパスとは?同じような単語との違いを説明
キャリアパスとは、仕事における目標に向かって必要なステップを示す道筋のことです。
また、目標とする職位に就くために、どのような業務経験やスキルが必要なのかを従業員に示すことを「キャリアパス制度」と言います。
キャリアパス制度は、従業員にとって将来像を明確にイメージしやすくなるため、モチベーションアップに効果的です。
そして、企業にとっては離職率の低下が期待できる制度と言えるでしょう。
以下では、キャリアパスと似ている4つの単語の違いを説明します。併せて参考にしてください。
キャリアプラン
キャリアプランとは、自分が理想とする働き方を実現するために立てる具体的な計画のことです。
1年後、3年後など、近い将来のなりたい自分を想像し、そのために何が必要なのかを洗い出し、具体的な道筋を立てる作業と言えます。
キャリアアップ
キャリアアップとは、仕事の幅を広げ、さらなる高みを目指すことです。
例えば、「昇格・昇進する」「独立・起業する」などが挙げられます。
同時に、キャリアアップには自分の市場価値を高めるという意味もあります。
キャリアチェンジ
キャリアチェンジとは、今の仕事と異なる業界や職種に転職することです。
また、未経験の業界や職種に転職することも、キャリアチェンジと言えます。
キャリアデザイン
キャリアデザインとは、今後どのようなキャリア(経歴)を積んでいきたいのかを主体的に考え、将来のなりたい自分になるための計画を立てることです。
キャリアプランと似ていますが、キャリアデザインは仕事面だけでなく、プライベートを含みます。
キャリアデザインは、理想のライフワークバランスを計画することと覚えておきましょう。
キャリアパスの4つのメリット
ここからは、キャリアパスの4つのメリットを紹介します。
【キャリアパスの4つのメリット】
- モチベーションが上がる
- 企業全体が成長する
- 人材育成が簡易化される
- 従業員のミスマッチ防止
それぞれ詳しく見ていきましょう。
①モチベーションが上がる
目標への道筋が明確に示されると、従業員は何をどのようにすれば、自分の目標を達成できるのかを理解できるようになります。
将来像を描きやすくなることで、従業員1人1人のモチベーションが上がるのは、メリットと言えるでしょう。
②企業全体が成長する
従業員たちのモチベーションが上がれば、個々の生産性が上がり、結果的に企業全体の成長に繋がります。
優れた従業員の定着率アップも見込めるので、企業に好循環をもたらすでしょう。
③人材育成が簡易化される
目標への道筋が示されていることで、新入社員でも何をすべきかが簡単にわかります。
そのため、個々に時間をかけて人材育成をする必要はありません。
より明確な指標を準備することで、人材育成の効率化が見込まれるでしょう。
④従業員のミスマッチ防止
人材を募集する段階でキャリアパスを公開しておくと、求職者とのミスマッチを防げます。
なぜなら、企業が理想とするキャリアパスと、求職者が描いているキャリアプランが異なれば、そもそも入社することがないため、入社後のミスマッチを防ぐことが可能になるからです。
キャリアパスの3つのデメリット
一方で、キャリアパスには3つのデメリットがあります。
【3つのデメリット】
- 将来の選択肢が少ない
- モチベーションが下がる場合もある
- 確実性を担保するものではない
それでは、順に見ていきましょう。
①将来の選択肢が少ない
本来、将来への道筋を示すものですが、視野を狭めすぎてしまうことは、将来の選択肢を少なくすることに直結します。
将来像が明確化される一方で、選択の自由度が低くなることは、デメリットと言えるでしょう。
②モチベーションが下がる場合もある
企業側が示すキャリアパスに異論がある従業員に関しては、モチベーションの低下が懸念されます。
結果的に、企業の提示する将来への道筋に共感できない従業員は、働きづらさや違和感から離職してしまう可能性があります。
③確実性を担保するものではない
キャリアパスがあることで、必ず目標としている職位に就けるとは限りません。
そもそも、役職やポジションには限りがあるため、正しいキャリアパスを踏んでも実現しない場合があります。
業務経験やスキルが適していても、昇進・昇格ができる確実性は担保されないと心得ておきましょう。
キャリアパス制度を導入する企業が増加している
ここまで、キャリアパスのメリットとデメリットを紹介しましたが、結論から言うと、本制度を導入する企業は増加傾向にあります。
現在の日本の働き方は、1つの会社に勤め続けるよりも、転職することが当たり前になっていると言えるでしょう。
企業は、人材確保のために将来への道筋を示し、離職率の低下と定着率の向上を図っています。
キャリアパスの事例を紹介
ここでは、実際にキャリアパス制度を導入し、功績を収めた企業の事例について紹介します。
“障がい者や高齢者の総合福祉サービスを提供している社会福祉法人で実施されているのは、年4回の面談と資格取得者に対する手厚いサポート体制です。資格取得者に対する報奨金支給や有給取得しやすい環境の提供をしています。人材獲得が厳しい業界であるため、評価制度を整え契約社員・正社員への登用も積極的に実施。新たに短時間正社員制度を導入するなど、フルタイムでの勤務が困難な職員に対しても柔軟に対応できる体制を敷いており、明確なキャリアパスと体制は、厚生労働省からも表彰されています。” (ManpowerClip)
“みずほフィナンシャルグループは「社員が自身のキャリアを主体的に考え行動するための様々な機会を提供し、積極的なチャレンジを支援」として、社員の多様な価値観・環境を尊重し、それぞれに応じたキャリア形成に向けての人事制度整備や多様な機会提供に努めて、ダイバーシティ推進にも積極的な取り組みを見せています。” (スマレビ)
キャリアパスの明確な設定方法
キャリアパスの明確な設定方法は、以下の通りです。
- 等級制度の作成
- 研修制度の作成
- 評価制度の作成
- 給与制度の作成
- 従業員のサポート・面談実施
以上が主な流れです。
制度を作成して終わりではなく、従業員に理解・周知してもらうことが大切だと言えます。
キャリアパス制度における3つの注意点
最後に本制度の導入を検討している方に向けて、3つの注意点をお伝えします。
【3つの注意点】
- 将来の選択肢を狭めすぎない
- 達成できる目標を設定する
- 理想のキャリアパスを強要しない
企業側にとっても、従業員にとっても、快適に働ける環境を実現するために、しっかり把握しておきましょう。
①将来の選択肢を狭めすぎない
一定数のキャリアパスが示されていない場合、将来の選択肢は狭まります。
従業員によっては、目標としている役職とは違うポジションに興味が湧くこともあるでしょう。
また、女性であれば出産や育児など、ライフイベントによって目的が変化する可能性もあります。
あらゆる状況に対して柔軟に対応できるよう、さまざまなキャリアパスを示しておくことが大切です。
②達成できる目標を設定する
設定したキャリアパスのレベルが高すぎると、従業員は目標を達成する未来を想像できません。その結果、モチベーションの低下に繋がることもあるかもしれません。
短期・中期・長期それぞれに分けてキャリアパスを設定するなど工夫して、従業員が達成できるような目標を示してあげるよう注意しましょう。
③理想のキャリアパスを強要しない
企業が望むキャリアパスを、従業員に強要しないよう気をつけてください。
というのは、将来への道筋を強制してしまうと、企業側と従業員の間に齟齬(そご)が生まれ、最悪の場合は離職してしまう可能性があるからです。
従業員がどのようなキャリアパスを望んでいるのかしっかりとヒアリングし、適性や条件を考えた上でキャリアパスを提示することがベターです。
まとめ
本記事では、キャリアパスの意味をはじめ、メリット・デメリットや事例、注意点などを紹介しました。
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