本記事は、「キャリアアップ助成金について知りたい!」「キャリアアップ助成金を受給したい」という方にピッタリです。
キャリアアップ助成金を獲得して、会社を大きく成長させたいと考える方も多いでしょう。
本記事では、事業主も従業員も生産性がグッと上がるキャリアアップ助成金について、徹底解説しています。
7つのコースの詳細をはじめ、注意点や受給までの流れなどを紹介しているので、ぜひご一読ください。
キャリアアップ助成金とは?簡単に説明!
キャリアアップ助成金とは、非正規労働者が会社内でキャリアアップするための、あらゆる施策に必要な資金を支援してくれる制度です。
非正規労働者には、契約社員や派遣社員、パートタイマーなどが含まれます。
キャリアアップ助成金を利用することで、従業員のモチベーションを向上させたり、優れた人材を安定的に確保できたりするため、しっかり理解しておくと良いでしょう。
なお、キャリアアップ助成金は厚生労働省が助成する公的資金です。返済の必要はありませんので、積極的に利用してみてください。
キャリアアップ助成金|7つのコース
キャリアアップ助成金は、7つのコースに分かれています。
【7つのコース】
- 正社員化コース
- 障害者正社員化コース
- 賃金規定等改定コース
- 賃金規定等共通化コース
- 諸手当制度等共通化コース
- 選択的適用拡大導入時処遇改善コース
- 短時間労働者労働時間延長コース
どのような助成金を貰えるのか、一つずつ確認していきましょう。
①正社員化コース
正社員化コースは、非正規労働者等を正規労働者等に転換または直接雇用する場合に受給できる助成金です。
“有期雇用労働者等の正規雇用労働者・多様な正社員等へ転換等した場合に助成する「正社員化コース」” (厚生労働省)
キャリアアップ助成金の中で、最もポピュラーなコースと言えるでしょう。
②障害者正社員化コース
障害者正社員化コースは、障害を持っている非正規労働者を正規労働者に転換する場合に貰える助成金です。
“障害のある有期雇用労働者等を正規雇用労働者等へ転換した場合に助成する「障害者正社員化コース」” (厚生労働省)
障害者が安心して職場で働き、定着できるようにするための働きかけと言えます。
③賃金規定等改定コース
賃金規定等改定コースは、非正規労働者の賃金を増額改定すると受給できる助成金です。
“有期雇用労働者等の賃金規定等を改定した場合に助成する「賃金規定等改定コース」” (厚生労働省)
非正規労働者の能力や業務成績に見合った賃金に改定することで、モチベーションアップに繋げられます。
④賃金規定等共通化コース
賃金規定等共通化コースは、非正規労働者に対し、正規労働者と共通する賃金規定を新たに設けて、それを適用すると貰える助成金です。
“有期雇用労働者等に関して、正規雇用労働者と共通の職務等に応じた賃金規定等を新たに設け、適用した場合に助成する「賃金規定等共通化コース」” (厚生労働省)
正規労働者と同等の業務が行えるのであれば、非正規労働者も同じ賃金を貰えるようになります。
⑤諸手当制度等共通化コース
諸手当制度等共通化コースは、非正規労働者の手当を正規労働者と共通化することで受給できる助成金です。
また、法定外の新たな健康診断制度を規定し、適用した場合にも助成されます。
“有期雇用労働者等に関して、正規雇用労働者と共通の諸手当に関する制度を新たに設け、適用した場合、または有期雇用労働者等に対し、労働安全衛生法上義務づけられている健康診断以外の一定の健康診断制度を新たに規定し、適用した場合に助成する「諸手当制度等共通化コース」” (厚生労働省)
非正規労働者にも、正規労働者と同じ諸手当(住宅手当、通勤手当など)が与えられれば、職場の定着率を上げられるでしょう。
⑥選択的適用拡大導入時処遇改善コース
選択的適用拡大導入時処遇改善コースは、非正規労働者に社会保険などの適用を実施し、かつ基本給を増額すると貰える助成金です。
これは、事業主と従業員の合意「労使合意」を交わすことが前提となります。
“労使合意に基づく社会保険の適用拡大の措置の導入に伴い、その雇用する有期雇用労働者等について、働き方の意向を適切に把握し、被用者保険の適用と働き方の見直しに反映させるための取組を実施し、当該措置により新たに被保険者とした事業主に対して助成する「選択的適用拡大導入時処遇改善コース」” (厚生労働省)
社会保険の適用を拡大したり、手厚い年金を保障したりすれば、従業員にとって働きやすい環境になるでしょう。
⑦短時間労働者労働時間延長コース
短時間労働者労働時間延長コースは、勤務時間が短い非正規労働者の労働時間を延ばし、社会保険に加入できるようにすることで貰える助成金です。
“雇用する有期雇用労働者等について、週所定労働時間を5時間以上延長又は週所定労働時間を1時間以上5時間未満延長するとともに基本給の増額を図り、新たに有期雇用労働者等が社会保険の被保険者に適用した事業主に対して助成する「短時間労働者労働時間延長コース」” (厚生労働省)
所定労働時間が週20時間以上になれば、非正規労働者でも社会保険に加入できるので、安心してキャリアアップを図れるようになるでしょう。
キャリアアップ助成金を受給できる要件とは?
キャリアアップ助成金を受給できる要件は、資本金や出資総額、もしくは従業員数によって変わります。
以下に、中小企業がキャリアアップ助成金を受給するときの要件をまとめたので、ぜひ参考にしてください。
資本金・出資総額 | 常時雇用従業員数 | |
小売業(飲食店含む) | 5,000万円以下 | 50人以下 |
サービス業 | 5,000万円以下 | 100人以下 |
卸売業 | 1億円以下 | 100人以下 |
その他 | 3億円以下 | 300人以下 |
常時雇用従業員数は、2ヶ月以上雇用している必要があるため、注意しましょう。
大事なポイントは、前提として雇用保険適用の事業所であることです。
また、キャリアアップ管理者がいるのか、キャリアアップ計画を作成しているのかなども、助成金を貰う鍵となります。
キャリアアップ助成金には支給額と上限がある
キャリアアップ助成金を問題なく受給するためにも、支給額と上限があることを知っておきましょう。
以下、障害者正社員化コース以外の各コースの支給額をまとめています。
コース名 | 中小企業 | 中小企業以外 |
正社員化コース | 28万5,000円〜72万円 | 21万3,750円〜54万円 |
賃金規定等改定コース | 14,250円〜36万円 | 9,500円〜24万円 |
賃金規定等共通化コース | 20,000円〜72万円 | 15,000円〜54万円 |
諸手当等制度等共通化コース | 15,000円〜48万円 | 12,000円〜36万円 |
選択的適用拡大導入時処遇改善コース | 19,000円〜24万円 | 14,000円〜18万円 |
短時間労働者労働時間延長コース | 45,000円〜28万4,000円 | 34,000円〜21万3,000円 |
支給額は、取組内容や単位などによって大きく変動します。詳しい支給額について知りたい方は、厚生労働省の公式サイトを確認してみましょう。
また、障害者正社員化コース以外の各コースの上限については以下の通りです。
コース名 | 上限 |
正社員化コース | ・1年度1事業所あたりの支給・申請上限人数:20人 |
賃金規定等改定コース | ・1年度1事業所あたり100人・申請回数:1年度1回のみ |
賃金規定等共通化コース | ・1事業所あたり1回のみ・上限人数:20人 |
諸手当制度等共通化コース | ・1事業所あたり1回のみ・上限人数:20人・4手当まで |
選択的適用拡大導入時処遇改善コース | ・1事業所あたり1回のみ・申請上限人数:45人 |
短時間労働者労働時間延長コース | ・1年度1事業所あたりの支給・申請上限人数:45人 |
支給額同様、上限も取組内容や単位によって異なるので、気をつけましょう。
キャリアアップ助成金を受給するまでの流れ
キャリアアップ助成金を受給するまでの流れは、希望するコースによって異なります。
正社員化コースと正社員化コース以外に分けて説明するので、ぜひ参考にしてください。
【正社員化コース】
- キャリアアップ計画の作成
- 労働局とハローワークへの提出・許可
- 就業規則等の改定
- 就業規定等に基づく正社員等へ転換
- 転職後6ヶ月の賃金支払い
- 支給申請
非正規労働者を正規労働者に転換する際、基本給などが3%以上増額されていることが条件です。
【正社員化コース以外】
- キャリアアップ計画の作成
- 労働局とハローワークへの提出・許可
- 就業規定の改定・取組みの実施
- 取組み後6ヶ月の賃金支払い
- 支給申請
どのコースも、実施日の前日までに「キャリアアップ計画」を作成し、提出することが共通しています。
キャリアアップ計画の作成に関しては記事の後半で紹介するので、そちらも併せて参考にしてください。
キャリアアップ助成金に関する注意点
キャリアアップ助成金に関する注意点について知っておくことは、とても大切です。
なぜなら、助成金を貰えなかったり、延滞金や違約金を支払うことになったりする可能性があるからです。
以下、キャリアアップ助成金に関する注意点をまとめたので、ぜひ参考にしてください。
【キャリアアップ助成金に関する注意点】
- 実地調査等への協力が必要になる場合がある
- 審査に時間がかかる可能性がある
- 2つのコースに当てはまっていても、支給されるのは1つだけの場合がある
- 書類提出後は訂正や差替えができない
- 資金繰りには使えない
- 正社員化コースにおいて、非正規労働者が正規労働者になる確約はない
- 不正受給した事業主は、5年以内は助成金を貰えない
- 不正が発覚した場合は返還しなければならない
- 不正が発覚した場合は延滞金+違約金(返還額の20%)が課せられる
- 書類に疑義がある場合は指定期日までに書類の追加提出や補正が必要となる
事業主も従業員も気持ち良く働ける環境を作るために、キャリアアップ助成金は正しく利用しましょう。
キャリアアップ計画を作成する際に知っておきたい2つの知識
ここからは、キャリアアップ計画を作成する際の重要なポイントや、必要な項目を紹介します。
キャリアアップ助成金を初めて利用する方、利用を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
キャリアアップ計画の作成|4つの重要点
キャリアアップ計画は、厚生労働省が発表している「有期契約者等のキャリアアップに関するガイドライン」に則って(のっとって)作成します。
キャリアアップ計画の作成時、以下の4つの重要点を押さえておいてください。
【キャリアアップ計画の作成|4つの重要点】
- 3〜5年の計画期間を設定する
- キャリアアップ管理者を決める
- 目標を達成するために取り組む
- 非正規労働者の見解を聞く
キャリアアップ管理者は、非正規労働者の中から選ばれた人でなければなりません。
キャリアアップ計画の作成|6つの項目
キャリアアップ計画の作成時、最低限必要となる6つの項目があります。
【キャリアアップ計画の作成|6つの項目】
- 計画期間
- 計画期間中に講じる措置
- 対象者
- 目標
- 目標を達成するための具体的な取組内容
- 計画全体のフロー
事前計画と取組内容に整合性が取れていないと、審査に通らない可能性があるので気をつけましょう。
キャリアアップ計画に記入漏れや不備がないかを確認したら、労働局とハローワークに提出してください。
まとめ
本記事では、キャリアアップ助成金に関する内容や受給までのフロー、注意点などを紹介しました。
「キャリドラ」では、転職だけでなくキャリアアップに関するサポートなど、幅広く対応しています。
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