介護業界で注目を浴びている「キャリアパス」ですが、その必要性や導入方法を知りたい方は多いのではないでしょうか?
本記事では、福祉事業や介護業界におけるキャリアパスの必要性や、職員と施設側のそれぞれが得られるメリットなどを紹介します。
また、キャリアパス制度の導入方法についても紹介しているので、ぜひチェックしてください。
キャリアパスとは?
キャリアパスとは、企業において高いポジションや役職に就くために必要な経歴を、道筋として示したものです。
キャリアパスは、職員が目標とする職位に就くために必要な業務を明確にするため、モチベーションのアップが期待できます。
この仕組みを制度として導入することを「キャリアパス制度」と言い、施設側にも職員にもさまざまなメリットがあります。
介護職でキャリアパスが必要とされる理由
日本では高齢化が進んでいる現状に反して、介護職員の人数は減少傾向にあります。
これは、介護職員の個々の負担が大きいことや、キャリアアップの環境が整っていないことに起因しています。
さらに、給料のアップが望めないことも理由の一つ。
そんな介護業界にキャリアパス制度が導入されれば、評価基準や給与、労働環境などの見直しが可能になります。
その結果、優れた介護職員の定着率は上がり、長く働ける環境を実現できます。
キャリアパスによって介護職員が得られるメリット
ここからは、キャリアパスによって介護職員が得られる4つのメリットを紹介します。
【キャリアパスによって介護職員が得られる4つのメリット】
- スキルや能力を証明できる
- モチベーションが上がる
- 転職で有利に働く
- 視野が広がる
それでは、詳しく見ていきましょう。
スキルや能力を証明できる
キャリアパス制度で評価基準が明確に示されると、介護技術をはじめとする、さまざまなスキルが客観的に判断できます。
現場で何ができるのかが具体的にわかるため、スキルや能力を周りに証明することが可能になります。
モチベーションが上がる
既に紹介しましたが、キャリアパスが示されることで、目標までの道筋が明確になります。
経験値を積み上げてレベルアップしていく自分を想像できるので、自然とモチベーションが上がり、やりがいを感じられるでしょう。
転職で有利に働く
キャリアパスによって段階的に実務経験を踏めるため、自分のスキルや得意・不得意なことを認識できます。
自分のアピールポイントを把握しておけば、転職する際に有利に働くと言えるでしょう。
また、今後どのように成長していきたいかなど、キャリアプランを立てられることもメリットになるでしょう。
視野が広がる
さまざまなキャリアパスが示されていれば、目標の選択肢が増え、視野が広がります。
自分の能力や技術を存分に発揮できる役職を目指したり、新たな転職先を見つけられたりするなど、可能性が広がるでしょう。
キャリアパスによって介護・福祉施設が得られるメリット
続いては、キャリアパスによって介護・福祉施設が得られる3つのメリットを紹介します。
【キャリアパスによって介護・福祉施設が得られる3つのメリット】
- 公正公平に評価できる
- 全体のサービス水準が上がる
- 優れた職員が安定して在籍する
順番に紹介するので、ぜひ参考にしてください。
公正公平に評価できる
キャリアパスによって、職員に対する正当な評価基準が示されます。
そのため、公正公平な評価を行うことができ、個々に適した給与や手当を支給することが可能になります。
全体のサービス水準が上がる
キャリアパスを導入すれば、職員のスキルや技術の向上が期待できます。
そのため、事業全体としてのサービス水準が上がり、利用者の満足度や信頼度も上がるでしょう。
優れた職員が安定して在籍する
キャリアパスで、正当な評価に応じた待遇を受けられるようになるため、職員はさらにスキルアップしようと努力するでしょう。
このように、切磋琢磨(せっさたくま)して高め合った優れた職員が安定して在籍することは、大きなメリットになります。
介護業界における王道キャリアパス
ここからは、介護業界における王道キャリアパスを紹介します。
介護業界でキャリアアップしていく場合、5つのステップを踏むことが必要です。
それぞれ、どのような業務ができるのかなどについて紹介するので、参考にしてください。
介護職員初任者研修
介護職員としての実務経験や資格がない人が、専門知識を得るために受ける研修です。
130時間のカリキュラムを学び、最短1ヶ月程で取得できるので、チャレンジしやすい資格と言えるでしょう。
介護職員初任者研修の資格を取得すれば、介護職員としての一歩を踏み出すことができます。
介護福祉士実務者研修
介護職員としてまだ経験の少ない人が、介護サービスのクオリティーを高めるために受ける研修です。
最長のカリキュラムは450時間ですが、前に述べた「介護職員初任者研修」の資格を保有していると、一定の免除を受けられます。
サービス提供責任者になれたり、後述する介護福祉士の受験資格を得られたりする、実用性の高い資格です。
介護福祉士
国家資格である介護福祉士は社会的信用度が高く、将来性が見込めます。
受験内容は難しい傾向にありますが、チームリーダーなど高いポジションを狙える資格です。また、利用者の悩みや相談に対応できるようになる点も、強みと言えます。
ケアマネージャーや介護支援専門員
介護福祉士の資格を取得した人が次に目指すのは、ケアマネージャーや介護支援専門員です。
この資格を保有していると、障害者の生活をサポートできるなど、仕事の幅が大きく広がります。
ただし、5年以上の実務経験を積まなければ受験できないため、注意してください。
認定介護福祉士やマネジメント職
さらなるキャリアパスを希望する人は、認定介護福祉士やマネジメント職を目指しましょう。
高い専門技術が必要とされる認定介護福祉士は、介護福祉士の中でもトップに立てる資格です。指定のカリキュラムを修了することで取得できます。
また、マネジメント職に就けば、施設長として職員や利用者の相談を受けるなど、幅広い業務に携わることが可能です。
キャリアパス制度を導入する方法
最後に、多くのメリットを受けられるキャリアパス制度の導入方法を紹介します。
事業や施設にキャリアパス制度を導入しようと検討している方は、ぜひ参考にしてください。
組織の体制を構築する
最初に、組織の体制を構築してください。
というのは、職員の中で情報共有ができていなかったり、トラブルに対応する責任者がわからなかったりすると、キャリアパス制度の効果が薄れてしまうからです。
組織図を見直し、理想とする全体像を把握した上で体制を整えましょう。
役職の階級を定める
組織体制の構築が完了したら、役職の階級を定めてください。
例えば、一般社員や主任級、管理職、幹部級などのように分けます。
職員の人数が多い場合は、一般職員を新人・中堅・ベテランと細分化することをおすすめします。
各職位の業務内容を決める
役職の階級を定めたら、それぞれが行う業務内容を決めてください。
これにより、職員はやるべき仕事が明確に理解でき、施設全体の動きがスムーズになります。
各職位に必要なスキルや資格を設定する
各職位の業務内容が決まったら、それぞれに必要なスキルや資格を設定してください。
必要なスキルや資格を定めることで、階級の線引きが濃くなります。それぞれの職員にとって、キャリアパスを歩みやすくなるでしょう。
各職位に相応しい給与を確定する
最後に、評価基準や階級、スキル、資格を踏まえて、給与を確定してください。
特定のスキルや資格を持っている職員に対して、手当を設けることも含まれます。キャリアパスによって収入アップが見込めると認識されれば、制度が上手く機能するでしょう。
まとめ
本記事では、福祉事業や介護業界におけるキャリアパスの必要性をはじめ、メリットやキャリアパス制度の導入方法を紹介しました。
キャリアパスは施設側にとっても、職員にとっても、より働きやすい環境を実現するものと言えるでしょう。
キャリドラは、転職のサポートだけに限らず、仕事に関するさまざまな相談に対応しています。
管理者に向けたマネジメント講習なども実施しているので、キャリアパス制度の詳しい導入方法を知りたい方は、ぜひ相談してみてはいかがでしょうか?